なぜか落ち着く、その理由を考えてみる― 木という素材がつくる、時間の感覚

素材

この記事は、床・壁・家具・インテリアを選ぶ前に、
考え方を整えるためのメモです。

理由は分からない。でも、たしかにそう感じる

木に触れたとき、
「いいな」と感じることがあります。

理由を聞かれても、
うまく説明できない。
でも、たしかにそう感じる。

木の魅力は、
見た目の美しさだけではない気がします。
触れたとき、近くにあるとき、
空間に流れる空気が、少し変わる。

そんな感覚を、
これまで何度も経験してきました。


木は、日本では特別な存在だった

日本では昔から、
大きな木に特別なものが宿ると考えられてきました。

神社や寺の境内で、
大きな木の前に立つと、
気持ちがすっと静まることがあります。
理由は分からないけれど、
無意識に振る舞いが変わっている。
そんな経験は、多くの人にある気がします。

切り出された木材に対しても、
日本人は長く向き合ってきました。
木目や形を眺め、
そこに美しさを見出す。

木は、ただ使う素材ではなく、
関係を結ぶ相手だったように思います。


なぜ、人は無意識に木に惹かれるのか

木が特別に感じられる理由を、
頭で考えたことはあまりありません。

けれど、
木のある空間に入ったとき、
緊張がふっとほどける。

そうした反応は、
理屈よりも先に起きています。

以前、
木を多く使った空間と、そうでない空間を
続けて体験したことがあります。

説明を聞く前に、
「こちらの方が落ち着く」と感じていました。

人は、
思っている以上に、
身体で素材を受け取っているのかもしれません。


「感じる」ということは、説明よりも先にある

居心地のいい場所で、
人はあまり多くを考えません。

ただ、そこにいられる。
それだけで十分。

反対に、落ち着かない場所では、
理由を探し始めてしまう。

木のある空間では、
その「理由探し」が起きにくい気がします。

いいか、悪いか。
好きか、苦手か。

そうした判断が、
説明の前に終わっている。

それが、
木という素材の持つ力なのかもしれません。


木は、時間と一緒に変わっていく素材

木は、使い続けるうちに変わります。

色が深くなり、
表情が落ち着き、
触れたときの印象も少しずつ変わる。

でも、その変化を
「劣化」とは感じにくい。

むしろ、
空間に馴染んできたように見える。

完成した瞬間が一番きれい、
という素材ではないところに、
木の良さがある気がします。


すべてを木にしなくてもいい

現実の暮らしでは、
扱いやすさや掃除のしやすさも大切です。

だから、
すべてを自然素材にする必要はありません。

目に入りやすい場所、
触れる時間が長い場所、
気持ちを落ち着けたいところ。

その一部に、
本物の素材を選ぶ。

それだけで、
暮らしの印象は変わります。


木と暮らす、という感覚

木は、強く主張しません。
けれど、確実に影響を与えています。

毎日過ごす背景だからこそ、
少しだけ意識して選ぶ。

背伸びせず、
無理をせず、
それでも、長く付き合えるものを。

そんな視点で素材を見るようになってから、
家で過ごす時間が、
以前より静かに感じられるようになりました。

これからも、
そうした感覚を、
少しずつ言葉にして残していきたいと思います。

このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。

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