この記事は、床・壁・家具・インテリアを選ぶ前に、
考え方を整えるためのメモです。
空気は、壁からつくられていると感じることがあります
部屋に入った瞬間、
「なんだか落ち着くな」と感じる空間があります。
家具や色のせいだと思っていたその感覚は、
よく考えると壁の表情によるものだったりします。
壁は、面積が大きいぶん、
部屋の“空気”そのものをつくっている存在です。
素材感のある壁が、静けさをつくる理由について
珪藻土や漆喰、フリース壁紙、布クロス、木の壁。
これらの共通点は、光をそのまま跳ね返さないこと。
表面にわずかな凹凸があり、
光が柔らかく拡散することで、
部屋全体に影の階調が生まれます。
以前、珪藻土の壁を
コーブ照明で照らした空間を見たとき、
「壁って、こんなに表情を持つんだ」と少し驚きました。
同じ照明でも、ビニールクロスでは出なかった陰影です。
機能としてのビニールクロスと、感情としての素材壁
もちろん、ビニールクロスはとても優秀です。
汚れに強く、コストも抑えやすい。
とくに小さな子どもがいる家庭では、
「助かった」と思う場面が何度もあります。
実際、我が家でも
子どもが壁にクレヨンを走らせたときは、
正直少し焦りました。
けれど、拭けばきれいに戻る壁を見て、
心から安心したのも事実です。
暮らしの中には、
こうした「守ってくれる素材」が必要な場所があります。
一方で、
ふと立ち止まったときに目に入る壁には、
少し違う役割を求めたくなることもあります。
素材は「一面だけ」で、ちょうどいい
珪藻土やタイル、木の壁は、
部屋全体に使うよりも、
一壁面だけのアクセントとして使うことで、
その表情がいちばんよく伝わります。
たとえば、
ダイニングの背面だけを塗り壁にする。
リビングのテレビ背面を木で仕上げる。
それだけで、
部屋に、気持ちの拠りどころが生まれます。
装飾しすぎないこと。
素材と、長く付き合うための距離感なのかもしれません。
トイレは、少し遊んでいい場所
家の中で、
一番雰囲気を変えても違和感がないのがトイレです。
タイルを貼ったり、
少し濃い色の塗り壁にしたり。
面積が小さいからこそ、
素材感を思いきって楽しめます。
以前、トイレの壁一面だけに
小さなタイルを貼った空間を見たとき、
「ここだけ別の世界みたいだな」と、
思わず嬉しくなりました。
素材壁は、間接照明で完成する
素材感のある壁は、
直接照らすより、間接光で活きる壁です。
コーブ照明、コーニス照明、
あるいは壁際に置いたフロアランプ。
光源を隠すだけで、
壁の凹凸や質感が、静かに浮かび上がります。
照明を点けた瞬間、
昼間とはまったく違う表情を見せる壁に、
少し得した気分になることもあります。
背伸びせず、選び分けるという考え方
素材壁は、贅沢品ではありません。
全部を選ばなくていいという前提に立つと、
ぐっと現実的になります。
- 子どもが触れる場所は、扱いやすい壁
- 目に入り、光が当たる場所は、素材感のある壁
このバランスが取れたとき、
暮らしは無理なく、でも確実に豊かになります。
壁は、毎日目にする背景です。
少しだけ素材にこだわることで、
部屋の空気が変わり、
暮らす人の気持ちも、静かに整っていく。
そんな変化を、
これからも少しずつ集めていきたいと思っています。
このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。


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