この記事は、床・壁・家具・インテリアを選ぶ前に、
考え方を整えるためのメモです。
建築家でありデザイナーの黒川雅之は、
著書『デザインの修辞法』の中で、日本と西洋の住まいの違いを
「どこを“ちょっと落ち着く場所”としてつくってきたか」という視点から語っています。
西洋では椅子やベッド。
日本では床。
畳を敷き、布団を広げ、お膳を置く。
床そのものが暮らしの中心でした。
この視点を知ったとき、少し驚きました。
床は背景だと思い込んでいたからです。
床が落ち着かないと、部屋も落ち着かない
以前、部屋の印象がどうしても落ち着かない時期がありました。
家具を変え、照明を変え、ラグを足してみる。
それでも、どこか居心地が悪い。
どこか、落ち着かない感覚が続いていました。
原因は床でした。
白に近い明るい色で、光を強く反射する仕上げ。
裸足で立つと、どこか緊張する。
リフォームを機に、光をやわらかく受けるマットなフローリングに変えました。
家具は同じなのに、空気が静かになった。
あのときの感覚は、今も忘れられません。
靴を脱ぐ文化では、床が感覚をつくる
日本の住まいでは、
床は最も長く身体が触れている面です。
足裏に伝わる温度。
表面の硬さ。
反射の強さ。
ここが整うと、空間全体が整います。
逆に、ここが整っていないと、
どれだけ家具を揃えても、どこか落ち着かない。
床は、空間の「質感の下地」です。
床選びで見るべき3つのこと
床を選ぶとき、私は次の3つを基準にしています。
- 光を強く反射しすぎないか
- 裸足で立ったときに緊張しないか
- 面積で見たときに“重すぎない”か
ショールームでは、
できれば靴を脱いで、数秒立ってみる。
カタログより、身体の反応を信じるほうが確かです。
おわりに
床について考えることは、
何かを足すことではなく、順番を見直すこと。
家具より先に、床。
小物より先に、下地。
そこが整うと、
空間は驚くほど静かになります。
もし部屋が落ち着かないなら、
一度、床から見直してみるのもひとつの方法です。
このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。


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