このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。
はじめに|たくさん揃えなくても、部屋は動き出す
家具が好きになると、
どうしても「揃えること」そのものが楽しくなります。
名作と呼ばれる椅子やテーブル。
長く作られ続けてきた理由のあるかたち。
それらを知るほど、
一つ、また一つと増えていく。
けれど、部屋を落ち着いた場所にしたいと思ったとき、
あるところで、少し立ち止まる感覚がありました。
名作家具は、
最初は一つあればいいのかもしれない。
それは
「一つしか持たない」という話ではなく、
部屋の基準になる存在は、まず一つで十分
という感覚です。
名作家具は「主役」ではなく「基準点」
名作家具という言葉から、
つい“主役”のような存在を想像してしまいます。
けれど実際には、
良い家具ほど、主張が強すぎません。
空間の真ん中で目立つというより、
置かれているだけで、
部屋全体のバランスを静かに整えてくれる。
そしてもう一つ、
良い家具ほど、
時間の中で評価が大きく揺れにくいように感じます。
それはまるで、
音楽における基準音のような存在。
基準が一つ決まると、
それ以上、音を足さなくても成立する。
名作家具も、
そんな役割を担っているように思います。
Yチェアという、時間に耐える基準点
北欧家具を代表する椅子のひとつに、
Yチェアがあります。
1950年に
ハンス・J・ウェグナー
によってデザインされ、
今もなお作り続けられている椅子です。
Yチェアは、
名作でありながら、驚くほど静かです。
形は特徴的なのに、
部屋の中で声を張り上げない。
一脚だけ置いても、
複数並べても、空間が騒がしくならない。
この椅子が「名作」と呼ばれる理由は、
完成度の高さだけではなく、
使う人や空間が変わっても、関係を結び直せるところに
あるのだと思います。
引っ越しや模様替え、
暮らしのリズムが変わっても、
居場所を失いにくい。
その結果として、
長く手元に残りやすい家具になる。
そんな印象があります。
その選び方を、確かめる場所。
名作家具を一つ選ぶときは、 写真だけで判断せず、
「どんな空間で使われているか」を
できるだけ多く見るようにしています。
FLYMEe には、 名作家具を実際のインテリア写真と
一緒に見られる ページが多く、
部屋の想像がしやすいと感じています。
無垢材の家具を考えるなら、
MASTERWAL のプロダクトも 「長く使う」
という視点では相性がいいかもしれません。
実は、少しずつ増えているという話
「名作家具は最初は一つでいい」と言いながら、
正直に言えば、
我が家には名作と呼ばれる家具がいくつかあります。
それでも、
そう感じているのは、
同時に主役になっているものがないからかもしれません。
ダイニングでは椅子が軸になり、
リビングではソファが、
別の部屋では照明が。
それぞれが、
その空間の基準点として機能していて、
互いに張り合わない。
名作家具は、
数を揃えるものというより、
時間をかけて、少しずつ関係を築いていくもの
なのだと思います。
名作家具を、少しずつそろえていくための一脚
最初の名作家具は、
一気に揃えるためではなく、
これから選んでいくための基準として迎える。
そう考えると、
一脚目の意味はとても大きくなります。
- 部屋の雰囲気
- 素材の方向性
- これから足すもの、足さないもの
そのすべてが、
時間をかけて、静かに定まっていく。
そうして選ばれた家具は、
結果として、
長く手元に残ることが多いように感じます。
おわりに|急がなくなる、という価値
名作家具は、
長く使えるから選ぶ、というよりも、
時間が経っても、関係を結び直せることに
価値があるのかもしれません。
部屋に一つ、
信頼できる基準点がある。
それだけで、
次に何を選ぶかを、
急がなくてよくなる。
暮らしが静かになる、
というのは、
きっとそういうことなのだと思います。
このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。

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