すべてを照らさない、という住まい方― 夜の部屋を落ち着かせるために、光を減らすという選択

住まい・インテリア

この記事は、床・壁・家具・インテリアを選ぶ前に、
考え方を整えるためのメモです。

夜の部屋が落ち着かない理由を考えてみる

夜の部屋が、
なぜか落ち着かないと感じることがあります。

明るさは足りているはずなのに、
少しだけ気持ちがそわそわする。
そんな違和感です。

以前は、
「もっと照明を足したほうがいいのかもしれない」
そう考えていました。

けれど、いくつか試してみて気づいたのは、
問題は明るさではなく、
すべてを照らそうとしていることでした。


影があることで、空間は静かになる

ある日、
天井の照明を消して、
スタンドライトだけで過ごしてみました。

部屋は少し暗くなったはずなのに、
輪郭はやわらかくなり、
眩しさもなく、
気持ちは不思議と落ち着いていました。

「暗い」というより、
光が減ったぶん、
余計な情報が静まった、
そんな感覚に近かった気がします。

そのとき思い出したのが、
陰翳礼讃でした。


『陰翳礼讃』が教えてくれること

谷崎潤一郎は、
すべてを明るく、均一に照らす近代的な空間に対して、
強く否定するのではなく、
静かに問いを投げかけています。

日本の住まいや道具は、
光を強く反射するのではなく、
受け止め、和らげることで美しくなってきた。

障子、軒の深い屋根、土壁、漆器。
それらはすべて、
影があってこそ成立する美しさを前提につくられています。

影があることで、
すべてを見せないことで、
人は想像し、
空間に奥行きを感じる。

谷崎は、
そこに日本独自の美意識を見ていました。


明るさは、足せばいいわけではない

現代の住まいは、
技術の進化によって、
簡単に明るくできます。

最近では、
天井にあえてシーリングライトやダウンライトを仕込まない、
という住まいの考え方も見かけるようになりました。

けれど、
明るいことと、
落ち着くことは、
必ずしも同じではありません。

夜の部屋に必要なのは、
昼と同じ光ではなく、
昼とは違う役割の光です。

すべてをはっきり見せなくてもいい。
見えなくても困らない場所は、
暗くていい。

影が残ることで、
空間は静かになります。


リフォームで選んだ照明のかたち

私も、リフォームでは
シーリングライトは使わず、
ダウンライトの数も、必要最低限にしました。

すべてを均一に照らすより、
夜にどう過ごしたいかを、
先に考えたかったからです。

正直、
少し暗くなりすぎないか不安もありました。
けれど住み始めてみると、
必要な場所にだけ光があるほうが、
気持ちは落ち着くことに気づきました。

明るさが足りない、というより、
「照らされすぎていない」
そんな感覚です。


住まいは、時間で使い分けていい

『陰翳礼讃』は、
「暗くしなさい」と教えているわけではありません。

むしろ、
どこまで照らすかを選ぶこと、
どこを影のまま残すかを考えることの大切さを
伝えているように思います。

昼は作業の場所だった部屋も、
夜には休む場所になる。
同じ空間でも、
時間によって役割は変わります。

住まいは、
一日中、同じ顔をしていなくていい。
そう考えると、
照明の使い方も、
少し気が楽になります。


すべてを整えなくてもいい

明るさを足すより、
影を残す。

照明を増やすより、
使い方を変える。

大きな工事をしなくても、
新しい器具を買わなくても、
住まいの感じ方は変えられます。

すべてを照らさないことで、
初めて見えてくるものがある。
そんな住まい方も、
今の時代には、ちょうどいい気がしています。


もし、その感覚を少し具体的に確かめたくなったら。

実際に照明を探すときは、
デザインだけでなく、
光の広がり方や高さの選択肢を
まとめて見られる場所があると、判断しやすくなります。

私は、空間全体のバランスを考えるとき、
FLYMEe
ラ・ヴィータ の照明一覧を、
「カタログを見る感覚」で
眺めることが多いです。

このメモが、次に何かを選ぶときの、
静かな判断材料になればうれしいです。

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